お母さんがお茶を持ってきて、
椅子に座った。
「花音・・・家族っていろんな形があるだろ?
お父さんは、思うんだ。
拓人くんが心配しているように、
障がいのある子を産んだとしても、
その子は、大事な家族だ。
お父さんとお母さんもついている。
大丈夫だ。
何も心配せずに、
拓人くんと一緒に、
幸せな家族の形を築いていきなさい」
お父さんは、お茶をゆっくり飲んだ。
「初めて拓人くんに会った時の気持ちが、
間違いじゃなくてよかった。
じゃあ・・・寝るかな・・・」
お父さんは立ち上がって、
和室をちょっと覗いてから、
リビングを出ていった。
「どうなることかと思ったけど、
よかったわ・・・
でも、お嫁にいっちゃうのね。
とうとう、そんな時がきたのね・・・
寂しくなるわ・・・
さ、もう遅いから寝ましょ!
明日花音は仕事でしょ?」
「うん・・・お母さん」
「ん?なあに?」
「ありがとね・・・お母さん。
ほんと・・・ありがと・・・」
私は、顔を両手で覆って思いっきり泣いた。
拓人の想い、
お父さんの想い、
お母さんの想い、
もう、こらえきれなかった。