「こんにちは」




そう言うと、彼女は笑って頭を下げた。



あ・・・そうか、手話・・・





私は、ポケットから手帳とペンを出し、




【昨日はありがとうございました。

水筒の忘れ物があったので、届けに来ました。


うす田星夏さんの水筒です】



と書いて彼女に見せた。






彼女は手帳を覗いて、「ありがとう」と手話をした。







そして彼女も、


首から下げていた名札に引っ掛けていたペンを外して、



私の手帳に書き込み始めた。





【直接うす田さんに渡してあげてください。


ちゃんとお礼を言わせたいので。



4年1組です。



この校舎の3階上がって右の一番奥です。】






私も「ありがとう」と手話をした。





とても笑顔のかわいい彼女だった。





物腰が柔らかくて、良い先生なんだろうな・・と思った。





拓人が好きになったのも、わかる気がした。





私は思い切って彼女に伝えたいことを手帳に書いた。






【和泉先生とご結婚されるんですよね。






おめでとうございます!!】






彼女に見せると、彼女は顔を真っ赤にした。