「拓人がよかった・・・



私を幸せにできるのは、


拓人しかいないのに・・・」








拓人はゆっくりと、私を離した。





「俺には・・できない」









そっか・・・





やっぱりダメなんだね・・・







「もう、行けよ。




お前が先にホームに行け」








私は首を振った。





「行けって。俺・・・こっから見送るから」







私は一度考えてから、






しかたなく、ホームへ続く階段の方へ歩き出した。





階段の手前で、振り向いた。






拓人は何回も頷いていた。





私も頷いて、



階段を下りた。













しばらく向いのホームに拓人が下りてくるのを待った。





でも、いくら待っても拓人は下りてこなかった。







電車を1本、また1本見送って・・・





一時間ぐらい待った時、





拓人がホームへ下りてきた。








拓人は私を見るなり、



くるっと背を向けた。