駅から歩いて10分もしないで着いた拓人のマンションは、
落ち着いた雰囲気のマンションだった。
拓人の家は19階で、
ドキドキしながらエレベーターを下りた。
ホテルのような廊下を歩いて、
拓人はひとつの扉の前で止まった。
「ここ?」
「そ」
拓人はドアを開けた。
「どーぞ」
「お・・・おじゃまします」
私が玄関に入ると、拓人も入ってきて、
ドアを閉めた。
静かで、薄暗い玄関。
拓人は靴を脱いで、どんどん中に入って、
廊下の一番奥のドアを開けて、中に入ってしまった。
私も靴を揃えて脱いで、なぜかそっとそっと廊下を歩いて、
ドアの開いている拓人の入った部屋を覗いた。
「ここ・・・拓人の部屋?」
ドアのところから中の拓人に声をかけた。
「そうだよ。入れば?」



