「1/4の奇跡」左側の君に【完】





・・・拓人の家



急に肩から下げたバッグの中にあるポーチが気になった。






「え・・あの・・・いっ、今から???」




私の手をガシッとちょっと乱暴に繋いできて、



そのままグイグイと引っ張られてショッピングモールを出た。




駅へと続くエスカレーターに乗ると、

いつものように私の後ろに来て、



「お前さ・・・・なんだよ・・・ったく・・」




と、ちょっと拓人はイラついていた。





初めて拓人のホームに下りて、



拓人の電車を待った。






拓人の家は、学校の駅の次の駅。




「拓人?」



拓人の顔を覗き込むと、私の頭をポンポンと撫でた。




イライラしているのかなって気になったけど、

ちょっと笑ってくれたから、



私はそれだけで嬉しくなってしまった。





「初めてだね・・・拓人の家」




「あぁ・・そうだな」




拓人は髪をくしゃくしゃっとした。





「緊張するな・・・」




「大丈夫だよ。誰もいないから」