・・・拓人の家
急に肩から下げたバッグの中にあるポーチが気になった。
「え・・あの・・・いっ、今から???」
私の手をガシッとちょっと乱暴に繋いできて、
そのままグイグイと引っ張られてショッピングモールを出た。
駅へと続くエスカレーターに乗ると、
いつものように私の後ろに来て、
「お前さ・・・・なんだよ・・・ったく・・」
と、ちょっと拓人はイラついていた。
初めて拓人のホームに下りて、
拓人の電車を待った。
拓人の家は、学校の駅の次の駅。
「拓人?」
拓人の顔を覗き込むと、私の頭をポンポンと撫でた。
イライラしているのかなって気になったけど、
ちょっと笑ってくれたから、
私はそれだけで嬉しくなってしまった。
「初めてだね・・・拓人の家」
「あぁ・・そうだな」
拓人は髪をくしゃくしゃっとした。
「緊張するな・・・」
「大丈夫だよ。誰もいないから」



