どうして
なんで・・・・・・
古いちっぽけな駅の前。
さっきまで小さな丸い街灯が、
拓人の顔を優しく照らしてくれていたのに、
今は目の前の拓人が、ゆらゆらとぼやけだして、
瞬きをしても、
瞬きをしても、
拓人の顔がぼやけて見えない。
どうして私
気がつかなかったんだろう・・・・
こんなにそばにいたのに、
こんなにそばで見てきたのに
どうしてわからなかったんだろう・・・
「ごめんね・・・拓人・・・」
拓人は、あはははって笑った。
「いいんだよ。花音が謝ることじゃない。
いいんだ。
俺のことは気にすんな。
こうなるっていうことは、最初からわかっていたんだ。
花音が離れるまでだって。
だから、気にすんなって。
じゃあ・・な」
拓人はくるっと改札の方へ歩き出した。
ちょっと・・ちょっと待って・・・
どういう意味・・・?
「拓人!!!」



