「1/4の奇跡」左側の君に【完】









拓人は髪をくしゃくしゃっとして、

下を向いてしまった。





「お前は何もわかってない」





拓人の声はいつもよりも低く感じた。





「わかってないって・・・


拓人が何も話してくれないからじゃない!



体のことも、


やりたいことも、


全然私に話してくれないじゃない!





私は・・わかりたいって思っているのに」



「お前にはわかんねーよ!






どんなに頑張ったって無理なものは無理なんだよ!」


「そんなことない・・そんな・・」

「無理なんだよ!!





無理・・・なんだ。




どう頑張ったって、







聴こえるようにはならない」







・・・・・・・なに・・・?





「・・・拓人?」








「俺・・・右耳が・・・







・・・全然聴こえないんだ。









いつか両方




聴こえなくなるかもしれない」