拓人は髪をくしゃくしゃっとして、
下を向いてしまった。
「お前は何もわかってない」
拓人の声はいつもよりも低く感じた。
「わかってないって・・・
拓人が何も話してくれないからじゃない!
体のことも、
やりたいことも、
全然私に話してくれないじゃない!
私は・・わかりたいって思っているのに」
「お前にはわかんねーよ!
どんなに頑張ったって無理なものは無理なんだよ!」
「そんなことない・・そんな・・」
「無理なんだよ!!
無理・・・なんだ。
どう頑張ったって、
聴こえるようにはならない」
・・・・・・・なに・・・?
「・・・拓人?」
「俺・・・右耳が・・・
・・・全然聴こえないんだ。
いつか両方
聴こえなくなるかもしれない」



