「1/4の奇跡」左側の君に【完】







「いいよ。ここで」




私はガタガタと家の脇から自転車を出してきた。



「いいよって、駅までの道わかるの?」




拓人はふっと笑った。


「わかんねーや・・」




そう言って、私に紙袋を渡してきた。



「俺が押すよ」




私は自転車をとめて紙袋を持った。







カタンと自転車を拓人が押して、


私はその隣を歩いた。






「お姉さんって何歳?」




拓人は自転車を押しながら首を傾げた。





「何歳だ・・?大学2年だよ」




「そうなんだ・・


優しい?」



拓人は、あははっと笑った。



「まあ・・普通だよ」




「いいな・・兄弟・・・」




拓人は私をチラッと見た。



「そうか?」





うらやましいな・・・





「拓人も大学目指しているんだね。


もしかしてお姉さんと同じところ?」





「いや、違う・・・ていうか、


まだ、どの大学とか・・そこまで決めてない。




俺・・やりたいことがまだ決まってないから。




本当はさ・・・」







信号で止まった。





「本当は?」






拓人は俯いてしまった。