「いいよ。ここで」
私はガタガタと家の脇から自転車を出してきた。
「いいよって、駅までの道わかるの?」
拓人はふっと笑った。
「わかんねーや・・」
そう言って、私に紙袋を渡してきた。
「俺が押すよ」
私は自転車をとめて紙袋を持った。
カタンと自転車を拓人が押して、
私はその隣を歩いた。
「お姉さんって何歳?」
拓人は自転車を押しながら首を傾げた。
「何歳だ・・?大学2年だよ」
「そうなんだ・・
優しい?」
拓人は、あははっと笑った。
「まあ・・普通だよ」
「いいな・・兄弟・・・」
拓人は私をチラッと見た。
「そうか?」
うらやましいな・・・
「拓人も大学目指しているんだね。
もしかしてお姉さんと同じところ?」
「いや、違う・・・ていうか、
まだ、どの大学とか・・そこまで決めてない。
俺・・やりたいことがまだ決まってないから。
本当はさ・・・」
信号で止まった。
「本当は?」
拓人は俯いてしまった。



