「1/4の奇跡」左側の君に【完】









「ごめんなさいね・・


いつもはこんなに酔っ払わないのに。



よっぽど嬉しいのね・・拓人くんがいい子だから」



玄関で靴を履いた拓人に、

お母さんがそう言った。




「ごちそうさまでした」




拓人は、頭を下げた。今日何回頭を下げただろうか・・・




「そうだ、拓人くんのうちは何人家族?」




「4人です」



「ちょっと待ってて」


お母さんはまたリビングに戻ってしまった。




「え・・拓人って兄弟いるの?」




「姉ちゃんがいるよ。あれ、言ってなかったっけ?」



「初めて聞いた・・・」






お母さんが紙袋を持ってきた。



「これ、ケーキ。



いっぱい余っちゃったから、


よかったらお家で食べて」




お母さんはなかなか受け取ろうとしない拓人の腕を掴んで、

無理やり持たせていた。




「ありがとうございます」



「また来てね。いつでも大歓迎だから」



「おじゃましました」





また、頭を下げた拓人と一緒に、



玄関の外に出た。









「待って、自転車取ってくる」