「ごめんなさいね・・
いつもはこんなに酔っ払わないのに。
よっぽど嬉しいのね・・拓人くんがいい子だから」
玄関で靴を履いた拓人に、
お母さんがそう言った。
「ごちそうさまでした」
拓人は、頭を下げた。今日何回頭を下げただろうか・・・
「そうだ、拓人くんのうちは何人家族?」
「4人です」
「ちょっと待ってて」
お母さんはまたリビングに戻ってしまった。
「え・・拓人って兄弟いるの?」
「姉ちゃんがいるよ。あれ、言ってなかったっけ?」
「初めて聞いた・・・」
お母さんが紙袋を持ってきた。
「これ、ケーキ。
いっぱい余っちゃったから、
よかったらお家で食べて」
お母さんはなかなか受け取ろうとしない拓人の腕を掴んで、
無理やり持たせていた。
「ありがとうございます」
「また来てね。いつでも大歓迎だから」
「おじゃましました」
また、頭を下げた拓人と一緒に、
玄関の外に出た。
「待って、自転車取ってくる」



