「1/4の奇跡」左側の君に【完】










お父さんはずいぶんとお酒が進んでしまい、


ご機嫌で、拓人に宇宙の話を語りだしてしまった。





「ごめんなさいね・・拓人くん。



お父さん!酔っ払いすぎですよ!」





お母さんはお父さんの肩をパシッと叩いた。





「そうそう、ケーキがあるのよ!いっぱい!」




お母さんは、キッチンに入って、


大きな箱を持ってきた。




「じゃじゃ~ん」




箱を開けると、1、2、3・・・




「12個も?なんでそんなにいっぱい。。。」




お母さんは、小皿を持ってきた。




「だってね、拓人くんがクリーム系かチョコ系か・・・


何系が好きかわからないから。


一応ね。いろんなのを・・と思って」







私は箱の中をもう一度覗き込んだ。




「拓人、どれがいい?」




拓人はお父さんの話に頷いていた。



「ねえ、拓人はどれがいいの?」






「え・・何?」



拓人がこっちを向くと、

お父さんもこっちを向いて睨んできた。




「花音!今、いいところなんだ!話をぶった切るな!」





真っ赤な顔をした酔っ払いのお父さんを、


お母さんが「もう!」とまた肩をパシパシッと叩いた。




「お父さん!ケーキ食べるの!


お父さんは食べるの?




拓人くんが一番に選んでね」




「なんだと!お父さんが一番に選ぶんだ。




拓人くんは2番だ。


うんと・・・」







それからケーキを選んだお父さんは、


食べずにテーブルにばったりと寝込んでしまった。