お父さんはずいぶんとお酒が進んでしまい、
ご機嫌で、拓人に宇宙の話を語りだしてしまった。
「ごめんなさいね・・拓人くん。
お父さん!酔っ払いすぎですよ!」
お母さんはお父さんの肩をパシッと叩いた。
「そうそう、ケーキがあるのよ!いっぱい!」
お母さんは、キッチンに入って、
大きな箱を持ってきた。
「じゃじゃ~ん」
箱を開けると、1、2、3・・・
「12個も?なんでそんなにいっぱい。。。」
お母さんは、小皿を持ってきた。
「だってね、拓人くんがクリーム系かチョコ系か・・・
何系が好きかわからないから。
一応ね。いろんなのを・・と思って」
私は箱の中をもう一度覗き込んだ。
「拓人、どれがいい?」
拓人はお父さんの話に頷いていた。
「ねえ、拓人はどれがいいの?」
「え・・何?」
拓人がこっちを向くと、
お父さんもこっちを向いて睨んできた。
「花音!今、いいところなんだ!話をぶった切るな!」
真っ赤な顔をした酔っ払いのお父さんを、
お母さんが「もう!」とまた肩をパシパシッと叩いた。
「お父さん!ケーキ食べるの!
お父さんは食べるの?
拓人くんが一番に選んでね」
「なんだと!お父さんが一番に選ぶんだ。
拓人くんは2番だ。
うんと・・・」
それからケーキを選んだお父さんは、
食べずにテーブルにばったりと寝込んでしまった。



