お父さんは、黙ってスリッパを履いて、
頭を下げた拓人の横を通り過ぎた。
そして、リビングのドアを開けた。
「ご飯にするぞ。
拓人くんも食べていきなさい」
そう言ってお父さんは中に入っていった。
お母さんは拓人の肩をポンと叩いた。
「唐揚げいっぱい作っちゃったから、
食べてくれないと困るのよ。
ね。食べてって」
お母さんもリビングに行ってしまった。
私は拓人のジャケットの裾を掴んだ。
「どうして・・
どうして?拓人は何も悪くないのに・・・
どうして謝ったりしたの?
私と詩織たちで勝手に決めちゃったことなのに。
なんで拓人が謝らなくちゃいけないの・・・
それに・・・
私、拓人と泊まりたかった。
この計画を、実行させたかったのに・・・」
拓人は、私の頭を撫でた。
「【大切にします】ってお父さんと約束したから。
俺は、約束を守りたい」



