「1/4の奇跡」左側の君に【完】





拓人は、自分の髪をくしゃくしゃっとした。



「ばーか。お前の前で泣くかよ。



お前と一緒にすんな。





飲み終わったか?ほら・・・行くぞ」




拓人は、私の空になったカップと自分のカップを持って、


ゴミ箱へと歩いて行ってしまった。





私も追いかけて、拓人の手を繋いだ。



「手、冷てーな・・」



そうつぶいて、ぎゅっと握ってくれた。



拓人の手は大きくて厚みがあって、



温かい・・・







隣から覗き込んだ拓人の横顔は、



やっぱり切なそうで、


ちょっとうつむきがちに歩いているせいか、



悲しそうな瞳を前髪が少し隠していた。





ショッピングモールを出て、駅へ向かった。




やっぱり拓人の様子が気になって、



私は、手を引っ張って立ち止まった。





「なんか・・あった?」


拓人は振り向いて笑った。



「なんだよ、なんもねーって」





手をぐっと引っ張り返されて、拓人の隣に行って


また歩き出した。





「なんかあったら言ってね・・」





ぽつりとつぶやいた私の言葉に、





拓人は何も答えなかった。