私は拓人から目をそらして俯いた。
「花音・・
花音みたいに、目標に向かって頑張れる選択肢があるってだけで、
すげーことなんだって。
中には、その選択肢すらない人だっているんだ」
私が顔を上げると、拓人は笑っていた。
でも、私にはすごく切なそうに見えた。
「拓人は・・?
拓人は将来の夢って何?」
拓人は一瞬暗い顔をして、
そしてまた、ははっと笑った。
「ないな・・
俺・・全然ない。
自分の未来が見えないっていうか・・・ははっ・・
適当に・・やるしかない・・うん」
なんか・・・私には笑ってごまかしているように見えた。
「拓人?」
「ん?」
コーヒーを一口飲んだ拓人。
「どうして・・
どうして泣きそうなの・・・拓人?」



