「1/4の奇跡」左側の君に【完】






私は拓人から目をそらして俯いた。





「花音・・


花音みたいに、目標に向かって頑張れる選択肢があるってだけで、


すげーことなんだって。



中には、その選択肢すらない人だっているんだ」





私が顔を上げると、拓人は笑っていた。


でも、私にはすごく切なそうに見えた。




「拓人は・・?


拓人は将来の夢って何?」








拓人は一瞬暗い顔をして、



そしてまた、ははっと笑った。






「ないな・・



俺・・全然ない。



自分の未来が見えないっていうか・・・ははっ・・



適当に・・やるしかない・・うん」



なんか・・・私には笑ってごまかしているように見えた。





「拓人?」




「ん?」



コーヒーを一口飲んだ拓人。




「どうして・・



どうして泣きそうなの・・・拓人?」