拓人の首元に頬を寄せると、

ふわっとシャンプーの香りがした。


拓人の髪っていい香り・・・




「花音?」


拓人が私の背中をポンポンと優しく叩いた。

私はもっとぎゅっと抱きついた。


「花音。こっち向け」

また背中をポンポン・・・


私は首を振った。

「向けって」


ちょっと強く腕を引き離されて、


しかたなく拓人から離れた。


「こっち向け」



私は拓人を見つめた。



拓人は私の頭を撫でた。



「帰るぞ」




まるで駄々をこねている子供をあやすかのように、

優しく頭を撫でて、


私の顔を覗き込んだ。



「また来ような」




私はゆっくり頷いた。





ふたり立ち上がり、

森の中の細い道をバス停に向かって歩いた。


足元にあるほんわりとした小さなライトが、

行き先を知らせていた。




拓人が私の手を繋いで、指を絡ませてきた。



あ・・そういえば・・・


「私、何も拓人にクリスマスプレゼント買ってなかった。。」



あぁぁ・・・失敗した。。


「そんなのいいよ」


歩きながら拓人はそう笑った。


「そんな・・・じゃあ今から買いに行こ。

学校のそばのショッピングモールに行こうよ」


拓人は私の前に立った。


「だから、そんなのいいって」



「でも、拓人からもらったのに・・・


私も拓人に・・・」


「だからいいって」


「でも・・・」



「花音」


拓人の顔が近づいてきた。


「気にすんな」


「でも・・・」


拓人は見下すような顔で、もう少し近づいてきた。


「私も拓人に・・・」




「俺に?」





目の前ぎりぎりの拓人が、

すごく色っぽい目で見つめてくるから、

ドキドキした。



「プレゼントをあげたいって・・・」





「いらねーよ」





・・・んっっ・・・





首すじから髪の中に指をすべらせて、

拓人の熱が伝わってくるような激しいキスに、

立っていることも必死で、

拓人にしがみついた。