「1/4の奇跡」左側の君に【完】






「ごめん、寒かったよな・・」


そう言いながら私の隣にドカっと座ってきた。



「全然。大丈夫だよ。



お父さんと・・なんかあった?」




「うん・・あっ。」




拓人が建物の方を向いて驚いた。


私もそっちに目をやると、


通路からお父さんがこっちを見ていた。


お父さんはぐっと窓ガラスに顔を近づけて、


そして、天文台の方へと歩いていってしまった。




「お父さんに見られた。。。


触るなとか手をつなぐなとか・・うるさくてほんとごめんね」





「そんなことないよ」




拓人は、ジャケットのポケットに手を突っ込んだまま、

ベンチの背にもたれた。





「お父さんは花音が大切なんだよ」





拓人はそのまま空を眺めていた。






「・・・星だ・・」



いつのまにか日が落ちて、


赤みを帯びていた空から藍色の空へ。










拓人は体を起こし、ポケットから小さな箱を出した。






「これ」