「おお、葉月さん熱く語ってるね・・」
私は立ち上がり、優しく微笑んでいる真壁さんの隣に行った。
「そうなんですよ。さっきからずっとあんな調子で・・
拓人大丈夫かな・・無理してないかな」
真壁さんは、腕を組んだ。
「大丈夫だと思うよ。
ほら、質問もしてるし。
知りたいと思わなければ、質問なんかしないだろう。
それに・・・」
私は、真壁さんを見上げた。
「いい表情している、ふたりとも。
朝の葉月さんはね、
もう・・泣きそうになっていたんだよ。あははっ」
真壁さんの笑い声を聞いて、
お父さんがこっちを向いた。
お父さんにつられて拓人もこっちを向いて、
真壁さんに軽く会釈をしていた。
「ああ、続けて続けて。
思ったよりもお客さん少ないし」
真壁さんは両手を振った。
この天文台、昼間はいつも空いている。
今日はクリスマスだから、
これでいつもよりかは、お客さんがいる方だ。
みんな電車に乗ったとしても、
天文台のある田舎方面じゃなくて、
学校のある方向、
都会方面に行くんだ。
お父さんと拓人が一緒にこっちに近づいてきた。
「拓人くんはなかなかするどい質問をしてくるよ。
ぜひ、科学館を見に行きなさい」
お父さんの顔は、笑顔だった。
「葉月さん、僕もね、安心したよ」
真壁さんもお父さんに笑いかけた。
拓人は私の隣にきて、
お父さんに頭を下げた。
「ありがとうございました。
じゃあ・・・科学館行くか」
拓人がそう言ったから、
私は拓人の手をつないだ。
「待て!お父さんの前で手を繋ぐの禁止だ!
花音に触るな、わかったな!」
拓人は、バッと手を離して
「は・・はい!わかりました!」
と、ばつが悪そうに、ぺこっと頭をさげた。



