「1/4の奇跡」左側の君に【完】




「おお、葉月さん熱く語ってるね・・」




私は立ち上がり、優しく微笑んでいる真壁さんの隣に行った。




「そうなんですよ。さっきからずっとあんな調子で・・


拓人大丈夫かな・・無理してないかな」




真壁さんは、腕を組んだ。



「大丈夫だと思うよ。


ほら、質問もしてるし。



知りたいと思わなければ、質問なんかしないだろう。



それに・・・」



私は、真壁さんを見上げた。





「いい表情している、ふたりとも。


朝の葉月さんはね、


もう・・泣きそうになっていたんだよ。あははっ」






真壁さんの笑い声を聞いて、

お父さんがこっちを向いた。




お父さんにつられて拓人もこっちを向いて、



真壁さんに軽く会釈をしていた。






「ああ、続けて続けて。


思ったよりもお客さん少ないし」


真壁さんは両手を振った。




この天文台、昼間はいつも空いている。



今日はクリスマスだから、


これでいつもよりかは、お客さんがいる方だ。



みんな電車に乗ったとしても、

天文台のある田舎方面じゃなくて、


学校のある方向、


都会方面に行くんだ。



お父さんと拓人が一緒にこっちに近づいてきた。




「拓人くんはなかなかするどい質問をしてくるよ。



ぜひ、科学館を見に行きなさい」




お父さんの顔は、笑顔だった。






「葉月さん、僕もね、安心したよ」



真壁さんもお父さんに笑いかけた。




拓人は私の隣にきて、


お父さんに頭を下げた。



「ありがとうございました。




じゃあ・・・科学館行くか」




拓人がそう言ったから、


私は拓人の手をつないだ。





「待て!お父さんの前で手を繋ぐの禁止だ!

花音に触るな、わかったな!」




拓人は、バッと手を離して




「は・・はい!わかりました!」



と、ばつが悪そうに、ぺこっと頭をさげた。