「ちょっ・・語らせろ!
これは人類にとって大切なことなんだ!」
・・・はあ?
「人類って。。。お父さん。。。
天文に興味があるならまだしも、
拓人は・・・」
「興味ないのか?」
お父さんに凄まれて、拓人は一瞬息を飲んだ。
「・・・あ・・・いや・・
興味・・あります」
お父さんは「よし!」と頷いた。
「お父さん、言わせてる感たっぷりだよ。。。
拓人もはっきり断っていいんだよ?そんな無理しなくても・・」
拓人は、はしごから降りた。
「興味があるというか、
学校の授業でやった以上のことは全然知らなかったから、
すごく深いところまで聞けておもしろいよ」
その言葉を聞いたお父さんは
「よしよし。そうだろうとも」と頷いて、
また、語り始めてしまった。
また始まったお父さんのうんちくを、
拓人は興味深く、うんうんと頷いて聞いていた。
そして質問なんかもし始めて、
お父さんはその質問に得意げになって答えていた。
私は、お父さんの天文うんちくを
小さい頃から何度も聞かされてきたから、
一緒に聞くのはやめて、
少し離れたところにある椅子に腰掛けて、
二人の様子を眺めることにした。
しばらく眺めていたら、
最初険しい表情だったお父さんの顔が、
いつもの優しいお父さんの顔に戻っていた。
そして、拓人は、
最初緊張して強ばっていた顔が、
時々笑顔も見せるようになっていた。
・・・なんだろうこの気持ち・・・
その時、真壁さんが天文台に入ってきた。



