頭を下げた拓人。
頭を下げたら、
お父さんのおでこにぶつかりそうになった。
お父さんは少しよろけて一歩下がり、
横にあったはしごに手をついた。
「君は・・背が高いな・・いくつあるんだ」
160cmのお父さんが拓人を睨んだ。
「178cm・・です」
「うっ。」
お父さんは、拓人と私を交互に見た。
「いつからだ、いつから付き合ってたんだ」
「まだ、今月からです」
お父さんははしごから手を離し、
拓人を見上げた。
「まだ幾日も経ってないじゃないか。
君は、花音に本気なのか?
軽はずみな気持ちで花音を、
弄んでいるんじゃないだろうな?」
私は拓人とお父さんの間に入った。
「弄ばれてなんかないよ!もう!」
なんでそんなこと言うんだろう・・
ちょっとイラっとした私の肩を、
拓人は優しく叩いて頷いた。
そしてお父さんを真剣な表情で見つめた。
「大切にしたいって・・
本気で大切にしたいと思ってます」
拓人・・・
お父さんは拓人を睨んだ。。
「本当だな?
泣かせるようなことをしたら、許さないからな。
いいか、約束しろよ」
拓人は大きく頷いた。
「約束します」
お父さんは「よし」と言って、
はしごに登るように拓人に勧めた。
「太陽黒点とプロミネンスを見せてやる。昇れ」
拓人ははしごを少しだけ昇っただけで、
レンズに届いた。
そしてレンズの中を覗き込んで、
さっきの子供と同じように
「すげー・・」とつぶやいた。
それからお父さんは、
太陽について詳しく語りだした。
太陽フレア
太陽風
磁気圏
放射線
そして太陽活動についても語りだし、
地球温暖化、寒冷化にまで話が発展して、
もう・・
自分の知識を拓人にひけらかしているだけっていう感じで、
うんざりした。
「ヨーロッパでは・・・」
「お父さん!もういいよ。。。
拓人・・ごめんね」



