「1/4の奇跡」左側の君に【完】





頭を下げた拓人。



頭を下げたら、

お父さんのおでこにぶつかりそうになった。





お父さんは少しよろけて一歩下がり、

横にあったはしごに手をついた。




「君は・・背が高いな・・いくつあるんだ」




160cmのお父さんが拓人を睨んだ。




「178cm・・です」




「うっ。」




お父さんは、拓人と私を交互に見た。



「いつからだ、いつから付き合ってたんだ」




「まだ、今月からです」


お父さんははしごから手を離し、

拓人を見上げた。




「まだ幾日も経ってないじゃないか。



君は、花音に本気なのか?


軽はずみな気持ちで花音を、


弄んでいるんじゃないだろうな?」



私は拓人とお父さんの間に入った。





「弄ばれてなんかないよ!もう!」




なんでそんなこと言うんだろう・・


ちょっとイラっとした私の肩を、

拓人は優しく叩いて頷いた。



そしてお父さんを真剣な表情で見つめた。



「大切にしたいって・・


本気で大切にしたいと思ってます」





拓人・・・








お父さんは拓人を睨んだ。。



「本当だな?


泣かせるようなことをしたら、許さないからな。




いいか、約束しろよ」




拓人は大きく頷いた。



「約束します」






お父さんは「よし」と言って、


はしごに登るように拓人に勧めた。




「太陽黒点とプロミネンスを見せてやる。昇れ」



拓人ははしごを少しだけ昇っただけで、

レンズに届いた。



そしてレンズの中を覗き込んで、


さっきの子供と同じように



「すげー・・」とつぶやいた。




それからお父さんは、


太陽について詳しく語りだした。



太陽フレア

太陽風

磁気圏

放射線


そして太陽活動についても語りだし、



地球温暖化、寒冷化にまで話が発展して、



もう・・



自分の知識を拓人にひけらかしているだけっていう感じで、


うんざりした。






「ヨーロッパでは・・・」

「お父さん!もういいよ。。。


拓人・・ごめんね」