「1/4の奇跡」左側の君に【完】





お父さんはぷいっと、


また子供の方を向いてしまった。



拓人はじっとお父さんの背中を見つめていた。





「ごめん拓人・・お父さんは放っておこ。



科学館の方に行こうか・・」




拓人は、ちょっと考えてから望遠鏡の方へ歩き出した。




「俺らも並ぼう」


振り返ってそう言った。




「え・・並ぶの?」



拓人はそのまま子供たちの後ろに並んだ。




しかたなく私もその後ろにならんで、



レンズを覗く順番を待った。




拓人の前には、子供が3人いて、

そのひとりがレンズを覗いていた。






天文台には、あと、母親らしき人が、

壁に掲げてある天体写真を眺めていた。






「すっげー」とお喜びしている子供たちを、


拓人は優しい眼差しで見つめていた。





お父さんはというと、

ちらちらこっちを見ながらも、


ちゃんと子供たちには、説明をしてあげていた。






3人の子供たちは見終わると、


母親の元へかけていってしまい、



望遠鏡のところには、


拓人とお父さん、そして私の3人となった。





一気に重たい空気に・・・







口をへの字に曲げて眉間にシワを寄せて、



私に目で何かを訴えているお父さん。



そのお父さんに拓人は1歩近づいた。




「和泉拓人と言います。



花音さんとお付き合いさせてもらってます。



よろしくお願いします」