「・・あぁ。」
ちょっと浮かない返事をした拓人が、
少し気になったけど、
手を伸ばして、私を椅子から立ち上がらせてくれたから、
それ以上、深く考えないことにした。
真壁さんに言われたとおりに、
その後天文台に行ってみることにした。
天文台とつながっている通路を通ると、
窓の下に、広場と駐車場とその先に森が見えた。
そして木々の隙間から、コテージの屋根がいくつか見えた。
森は少しくすんだ色で、葉が落ちてしまっているのも多く、
もう少し早い時期に来れば、紅葉がきれいだったのに・・と思った。
天文台の入口に入ると、拓人は私から手を離した。
天井が大きく円形に開いていて、そこから眩しい青空が見えた。
丸い青空に向かって、60cm反射望遠鏡がドーンと構えている。
望遠鏡のレンズ横にあるはしごの前に、子供たちが並んでいて、
順番にはしごに昇ってレンズを覗いていた。
その子供たちにいろいろと説明をしているお父さんが見えた。
「あれが、お父さん」
指を差してお父さんを教えると、
お父さんがこっちを向いた。
わ。睨んだ。。。
お父さんはわかりやすいぐらい、
顔色を変えた。
「・・・手強そうだな・・」



