「1/4の奇跡」左側の君に【完】




「・・あぁ。」




ちょっと浮かない返事をした拓人が、


少し気になったけど、



手を伸ばして、私を椅子から立ち上がらせてくれたから、



それ以上、深く考えないことにした。



真壁さんに言われたとおりに、


その後天文台に行ってみることにした。


天文台とつながっている通路を通ると、

窓の下に、広場と駐車場とその先に森が見えた。

そして木々の隙間から、コテージの屋根がいくつか見えた。





森は少しくすんだ色で、葉が落ちてしまっているのも多く、

もう少し早い時期に来れば、紅葉がきれいだったのに・・と思った。





天文台の入口に入ると、拓人は私から手を離した。


天井が大きく円形に開いていて、そこから眩しい青空が見えた。


丸い青空に向かって、60cm反射望遠鏡がドーンと構えている。



望遠鏡のレンズ横にあるはしごの前に、子供たちが並んでいて、


順番にはしごに昇ってレンズを覗いていた。


その子供たちにいろいろと説明をしているお父さんが見えた。



「あれが、お父さん」




指を差してお父さんを教えると、


お父さんがこっちを向いた。





わ。睨んだ。。。




お父さんはわかりやすいぐらい、


顔色を変えた。






「・・・手強そうだな・・」