「1/4の奇跡」左側の君に【完】






3階へと階段を昇った。



昇っている最中、拓人がずっと無言だったから、


もしかして、

お父さんのことを黙っていたから怒っちゃったのかなって


不安になった。




「ごめんね。お父さんのこと言わなくて」



3階に着いた時、拓人の前に立って謝った。




怒っているのかと思っていたら、


拓人は吹き出して笑った。




「すっげー緊張した!

あ。これからもっと緊張すんだよな、俺」



目の前で笑う拓人の笑顔が、

屈託のないその笑顔が、


本当に愛おしくて、




お父さんの職場だけど、我慢できなくて、


拓人の胸におでこを当てた。




「好きだよ・・拓人」



拓人は私の頭を撫でた。



「ほら、始まるから・・行くぞ」







私が顔を上げると、



目をそらして・・・



プラネタリウムの入口へと、

手を引いてくれた。