「1/4の奇跡」左側の君に【完】






真壁さんはじっと拓人を見つめた。



拓人は私から手を離した。




「初めまして。僕は事務の真壁と言います。


花音ちゃんのお父さんは、

隣にある天文台の研究員だから、

職種がちょっと違うんだけど、仲良くさせてもらってます。



僕は子供がいないから、花音ちゃんが娘みたいなもんで・・



葉月さんの気持ちもなんとなくわかるような


わからないような・・・




まあ・・・頑張って。うん」




真壁さんは拓人の肩を軽くポンポンと叩いた。




「・・はい・・・




あ・・和泉拓人です。よろしくお願いします」



拓人は深く頭を下げた。




真壁さんはあはははっと笑った。




「安心したよ。


花音ちゃん会うたびに、派手になっていくから。



彼氏を連れてくるって聞いて、

チャラチャラしたヤンキーみたいな男を連れてきたら、


入れてやるもんかって思っていたけど。



真面目そうで好青年だ。よかったよかった」





真壁さんは、プラネタリウムのチケットを2枚、

拓人の前に差し出した。



「プラネタリウムは3階だからね。


これは、僕のおごり」




拓人は、ちょっと戸惑っていた。



「いいから、遠慮なんかしなくて」と真壁さんに言われて、



ゆっくりとチケットを受けとっていた。





「すみません・・ありがとうございます」




拓人がまた頭を下げると、



「ゆっくりしていって」と、


真壁さんは目尻を下げた。