真壁さんはじっと拓人を見つめた。
拓人は私から手を離した。
「初めまして。僕は事務の真壁と言います。
花音ちゃんのお父さんは、
隣にある天文台の研究員だから、
職種がちょっと違うんだけど、仲良くさせてもらってます。
僕は子供がいないから、花音ちゃんが娘みたいなもんで・・
葉月さんの気持ちもなんとなくわかるような
わからないような・・・
まあ・・・頑張って。うん」
真壁さんは拓人の肩を軽くポンポンと叩いた。
「・・はい・・・
あ・・和泉拓人です。よろしくお願いします」
拓人は深く頭を下げた。
真壁さんはあはははっと笑った。
「安心したよ。
花音ちゃん会うたびに、派手になっていくから。
彼氏を連れてくるって聞いて、
チャラチャラしたヤンキーみたいな男を連れてきたら、
入れてやるもんかって思っていたけど。
真面目そうで好青年だ。よかったよかった」
真壁さんは、プラネタリウムのチケットを2枚、
拓人の前に差し出した。
「プラネタリウムは3階だからね。
これは、僕のおごり」
拓人は、ちょっと戸惑っていた。
「いいから、遠慮なんかしなくて」と真壁さんに言われて、
ゆっくりとチケットを受けとっていた。
「すみません・・ありがとうございます」
拓人がまた頭を下げると、
「ゆっくりしていって」と、
真壁さんは目尻を下げた。



