「――沙羅さん、バカですね。」 何度この言葉を使っただろうか。 帰りの電車の中。 私は南に手を引かれたまま。 隅っこの席に座っていた。 「――そんなに泣くほど悲しいくせに弥生君の前で泣かないなんて。」 視界があやふやで 恥ずかしくも前が見えず、1人で帰る気になれなかったので南に迎えに来てもらった。 ――あぁ、南に甘えすぎだな、私。 それなのに南は何も言わずにそばに居てくれた。 私が泣き止むまでずっと…