「……ごめん、南。 行ってくるね。」 「はい。いってらっしゃいです。」 南に少し背中を押され、私は急ぐ。 大通りで拾ったタクシーに空港の名を告げ、早く早くと急ぐ。 どうか弥生が搭乗口へ入ってしまうまでに間に合って欲しい。 ―――終わらせるんだ、何もかも。 伝えなさすぎたんだよ、私達は。 お互いに。 だから、どうか――どうしても後一つだけ。