「…弥生、腕痛い。」 「あ、悪ぃ。」 スッと離れた弥生の体温に少し寂しさを感じるなんて…私はとんだ乙女だな。 そんなことを思い自嘲気味に笑う。 「気に食わねー」 は? 「俺が手を離したのがそんなに嬉しいのか?」 どうしたんだろう、弥生の奴。 何だか今日はいつもの余裕がないみたいだ。 私の表情が―女子の表情が―読み取れないなんて。 私は一度ため息をつき、返事をする代わりに弥生の手を握った。