何気なく見ると、見知った顔が居ることに気づく。 「――――…弥生?」 そう、暗くても見間違えるはずのないあの派手な格好は間違いなく弥生だ。 弥生はまた時計台の前にいた。 駅から私の家までの帰り道に時計台がある。 だから、意識せずとも時計台は必ず通らなければならない道なのだ。 「弥生? どうしたの?」 私は近寄って声を掛けた。するとその途端グラリと座っていたはずの弥生が横に倒れた。 「弥生!?」