「店に着いたから、もう手は離してくれる?」 「ねぇ、沙羅さん。」 さっきまでは笑っていたのに、今度は真顔に戻りやがった。 訳分からん。 「何?」 「やっぱり喫茶店じゃなくて色々この辺の商店街見て回りませんか?」 やっぱり買い物がしたかったのか。 男で買い物が好きなんて変わった奴だ。 「買い物が良かったなら最初からそう言ってくれれば良かったのに。」 私の慣れない親切はどうやら裏目に出たようだ。