「俊さんはもう、私が自分の事好きって知ってるって事だよね?」

「うん、俺が言った。」



「なんで余計な事すんの!!!」


仕事帰りの、住宅街で人目も気にせず怒鳴ってしまった。
そんな事はもう頭には無い。


「なんで?なんで私の気持ちを健太郎くんが言っちゃうの?!」


この気持ちは…、私だけの…


「ごめん。」


気が付いたら立ち止まっていて、私の知らなかった事実に絶望した。


私が今まで耐えてきた事は?
私が決めた事は?

なんだったの?


「佐藤にも言われた。『もしお前が慰め方間違えて、結子がお前の事好きになっちゃったらかわいそうだぞ』って。だけど」





「俺が好きになっちゃった。」




「知らない。何なの、みんなしてかわいそうかわいそうって。別に全然平気だから!」



「うん、ごめんな。返事は要らない。言いたかっただけだから。」



私は電話を切ってしまった。