年下くんの策略






「………………え?ゆいか先輩今のって………」




その時



ガチャッ


「はい、お疲れ様でーす」



スタッフさんが笑顔で扉を開けた


私はゴンドラが進んじゃう前に急いで降りる

けんくんも私のあとから少し遅れて降りる




すたすた先を歩く私


「ゆいか先輩っ!さっきのって」


後ろからけんくんの声

振り向くとけんくんが立ち止まっていたので私も立ち止まる


「ん?別に告白の返事だけど?」

「本当ですか?」

「本当ですよ」


別に嘘をついたつもりはない

正直な思いを伝えただけ
つまりはっきりさせたんだ。けんくんの気持ちに



「先輩………」


ゆっくり私のもとに近づいてくるけんくん

私の目の前に来て私を見つめる




「抱きしめていいですか?」




思わぬセリフに少し驚く


けど



「うん。いいよ」


私は断らなかった
断る理由もなかった


けんくんが私をそっと抱きしめる

私の顔が丁度けんくんの胸の高さまでくる



………心臓の音がすごい聞こえる…