「ちーひーろー」
「・・・何」
蓮君が部屋を出るまで口をきかないと
決意していたのに、仕方なく答える。
静かにしてたらそれこそこの胸の
高鳴りが聞こえてしまう気するから。
「聞きたいことは色々あるけど、
まずは何で隆馬といたか答えてよ」
いつもより1オクターブ低い
蓮君の声。
どうやらとてつもなく真剣。
そりゃそうだ、彼氏以外の人と
デートしてたんだから。
「隆馬は【ある事情】を黙ってもらう
ためにデートしてって言われて・・」
「つまり、昨日笑顔で
スラスラ言ってたのは嘘なんだね」
「うん・・ごめんなさい」
正直に話した。
昨日の自称ハリウッドに
出られる級の演技も嘘だと言った。
きっと蓮君、
すごく怒ってるだろうな。
布団のおかげで相手の顔を
見らずに喋っていることが、
唯一の救いだ。


