seven kisses

意表をつかれた私は、きっとものすごく間抜けな顔をしていたのだと思う。

敬志が私の目を見ながら、照れくさそうに微笑んでいる。



「じゃ、行ってくるから。今のでパワー出たから、ホームラン打てる気がする。ちゃんと見てろよ。」

「う、うん.......。」

「それからさ、今日は泊まってけよ。」



私の頭を軽くポンとたたくと、敬志は走ってグランドへ戻って行った。



敬志は、普段、こういうことをするタイプではない。

どちらかというと、女の子をドキドキさせるのは下手な方。

とっさの行動だったのは、間違いない。

私を安心させようとして、かなり頑張ったんだろうな.......



そう思うと、胸がいっぱいになる。

あんまりロマンチックではないかもしれないけど、飾らない真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。

だから私は、敬志を信じていられる。

この人を好きになって良かったと思える。