思っていたことを口にしてしまったら、不思議と気持ちが落ち着いた。

それにしても、昨日会ったばかりの年下の男の子にこんな風に慰められるなんて、この状況は一体、何なんだろう。

今までの私だったら、絶対、絶対、有り得ない。



でも、彼は、どうして私にそこまで優しくしてくれるんだろう。

私は、どうして彼にこんなに気を許せてしまうんだろう。

考えたってわからないけど、彼の存在が私の中で大きくなったのだけは確かだ。



本当に変な奴。

だけど、感謝しなくちゃね。

あいつのおかげで吹っ切れたから、ここから挽回しよう。



その日は小口の発注は数件獲れたものの、結局、大口の契約は一件も獲れなかった。

だからって、ヘコんでばかりじゃいられない。

明日にはサンプルが届くだろうし、展示方法を変えてみようかな。

接客するにも、それだけで気分が変わって来るし。



一緒にブースを切り盛りしている仲間たちを先に帰して、ディスプレイをいじり始めた。

すると、そこへまた彼がやって来た。