seven kisses

実際、拓巳先輩は努力家だった。

練習が終わった後も、最後の一人になるまで残って、ボールを蹴り続ける日が何度もあった。

その眼差しは、四月のグランドで見たのと同じ。

いつも、真剣そのもの。

私は、私で、マネージャー業務を装い、残ってそれを眺めていた。



「梨絵ちゃん、帰っていいよ。俺、片付けとくから。」

「あ、はい。でも......見てても、いいですか?」

「え? .......いいけど、見てて面白い?」

「はい。」

「マジ? なら、全然いいけど、あんまり遅くなっちゃうと危ないと思ってさ。」

「平気です。」

「じゃ、もう少ししたらあがるから、一緒に帰る?」

「あ......はいっ!!」