seven kisses

でも、知りたくないこともあった。

拓巳先輩には彼女がいた。

美人で優しくて、いつも明るい部のムードメーカー、優美先輩。

私にマネージャー業務を教えてくれたのも優美先輩で、その柔らかで可愛らしい雰囲気に、密かに憧れていた。



色気も女らしさもない私には、到底かなわない。

微笑ましくなるほどお似合いの二人を、遠くで眺めていることしかできなくて、ちょっぴり辛くなることもあったけど、それでも良かった。

四月のグランドで見た拓巳先輩の強烈な印象が、私には忘れられなかったから。