恋華「……でもさ、携帯取りに行くだけなのに何か大袈裟じゃない?
もしかして、あれヤバイ物なの?」
レイン「……お前が知る必要はない」
レインは前を向いたまま冷たく答えた。
恋華「何それ……感じ悪い……。
ってか、もうちょっとゆっくり走ってよ!」
車はルクセンの町中をかなりのスピードで走り、前方の車を次々と追い抜いていく。
恋華は頭上にあるハンドルに必死に掴まり、道を曲がる度に目を瞑っていた。
レイン「あ? 急いでるんだよ」
恋華「……そんなに急がなくても大丈夫だって!
無くなったりしないし」
少し走ったところで、前方に渋滞とまではいかないが、車が何台か並んで止まっているのが見えてくる。
レインはため息をつきながら車を減速させ、列に並んだ。
レイン「……」
恋華「……」
(何か思ってたのと違ってこの人怖い……。
もー、車から降りたくなってきたよ)
レイン「心配するな。
必要なのはジェイトだけだ。
危害を加えるつもりはない」
恋華「! ……うん……」
(び、ビックリしたー。
心の中が読めてんの?)
恋華「……あのー、あの携帯、ジェイトっていうの?」
レイン「ああ。………ただの携帯だよ携帯」
恋華「ふーん」
(……何で隠すんだろ……? 絶対あれ携帯じゃねーし。
やっぱり入ってたデータは本当なのかな?)
