アイリ視点*
初めて入る教室で、アサミちゃん達と席が離れてしまった。
3人でワイワイしてた時だった。
急にトイレに行きたくなった。
「ちょ・・・トイレ・・・」
「トイレ?行っておいで」
「すぐ見つかるよ」
あたしはとにかく校舎を回った。
そのうちに、何故か旧校舎に入ってしまって、出られなくなっちゃった。
古いトイレで用を済ませたけど、人気がなくて怖い。
「うぅ・・・怖いよぉ・・・」
そんな時だった。
「テメェ・・・1年の癖に生意気だな。
あぁ??」
ヒッ!!
あたしはドスのきいた声に震えた。
ちょっと遠くのほうだ。
あたしはしのび足で壁に張り付き、事を見た。
そこでは、いかにも不良っぽい人達が睨み合っていた。
あたしに背を向けて立っている人は、綺麗な金髪をワックスでツンツンにしている。
もしかして、あの人が1年?
背おっきーい・・・。
漫画みたいな場面に、食い込むように見てしまう。
「聞いてんのか?あぁ?」
色とりどりの髪の人達が、1年の人に近づいていく。
あたしだったら気絶だ・・・。
「ぅるせぇな」
聞き心地のいい低い声。
「生意気だな・・・そんなにシバかれてーのか、あぁ?!」
ついに1人が殴りかかったその時!!
1年の人は、軽々とその拳を避けた。
「なっ・・・テメェ!!・・・って・・・何見てんだゴラァ!!」
鈍感な自分を恨むよ。
「おじょーちゃん?ここは子供の来るところじゃありませんよー?」
むむ。
子ども扱い!!
1年の人も、あたしを振り返った。
その顔があまりにも綺麗で、あたしは息を呑んだ。
切れ長の目、高い鼻、薄い唇・・・。
カッコイイ・・・。
なんかだんだん近くなって・・・ってあれ?
気づけば1年の人は、あたしの目の前に来ていた。
でかい・・・頭2個分くらい違う・・・。
「探したぜ」
へ???
その瞬間、あたしの体は中に浮いた。
「えええぇえ??!!」
「しっかり掴まっとけよ」
あたしを軽々と抱えた1年の人は、そのままダッシュ。
「ま、待てゴルァァァァ!!!」
不良達も必然的に追いかけてきて。
「きゃあああああ!!!」
あたしは恐ろしさで気を失った。
