アイリ視点*
「アイリ、財布持った?」
「もぉ~持ってるってば!」
さっきからずーっとお母さんが忘れ物確認してくる。
「アンタ鈍臭いんだから、ちゃんと周りに溶け込むのよ?」
「わかってるってば!!」
うるさいなぁ。
あたしは荒っぽく「行ってきます」と言って、新たに通う高校に向かって走り出した。
あたしの名前は梅原愛莉(うめはら あいり)。
中学でよく言われた言葉は「鈍臭い」。
自覚はしてるんだけど、直らないんだよね。
あ、そーいえば、
また悪い癖が出た。
どんっ。
「きゃ」
う、うわぁぁ!!
やっちゃった!!
「ご、ごごごめんなさいっ」
あたしがぶつかったのは、凄い美人だった。
黒っぽい茶色の髪は彼女の白い肌によく合ってる。
あ、でもチークちょっと濃いかも。
「え?あ、私こそごめんね!!」
あれ?
この子なんかイライラしてるよーな??
この子、今日は当り日だ。
どんっ。
また人にぶつかってる。
しかも、なんかキツメの美人。
あたしの不運、感染しちゃったかな?