「…っ、もういみわかんない!なんなの!」
「だってお前はそーゆーキャラじゃないじゃん」
「はぁ!?」
「わかんなくなるまで飲んで、誰かとホテル行くようなキャラじゃねーって」

ほんとに、ズルい。
ズルいなんてもんじゃない。

ああ、あたし…なんでこんな人好きなんだろう。
そう思いたくなるくらい、この時は泣きたくなった。

好き勝手に遊んできて、その割にあたしに自由はくれなくて、それは心さえも。
こんな風に誰かと身体を重ねてきた後でも、あたしはどうしようもなくこの人が好きだ。
執着なんかじゃなくて、心が引っ張られて、自分じゃもうどうしようもならないくらい。

「それに、そんな事出来ないくらい俺の事好きだろ?」

わかってるくせに、離してくれない。
なんて男を好きになっちゃったんだろう。

「……っ…だったら、なんでそーゆーことしてくんの…っ!」
「うわ、泣くなよ!…いや……悪かったって…」
「…どうせ、もうしない、なんて言ってくれないんでしょ…!」

言ってくれても嘘になる言葉なんか、要らないけど。

「…まぁ。……でもさ、俺が今付き合ってんのはお前じゃん」
「彼女らしい扱い、された覚えない…!」
「んなことねーよ。俺、お前には結構甘えてる」
「…しらないもん」

他の人の前でいる彼なんか知らない。
だって彼はあたしを彼女だって紹介なんかしないから。