でも、それは大東君がクラスに馴染めないんじゃなくて、



どちらかというと、自分から人との距離を置いているように思える。



「俺、体育は苦手なんだよね。だから体育はいつもサボってる。体育以外の授業もたまにね」



そう言いながら、あたしに向かって悪戯な表情で微笑む大東君。



いつもあまり表情を変えない大東君だけど、



あたしは色々な表情の大東君を見ている気がする。



不思議とあたしには、自然に大東君のほうから話しかけてくるのも、



“思い込み??”なんて最初は思ったりしたけど、



なんとなく最近は気のせいではないことも分かっていた。



「だから、いつも体育の時は見学してたり、時々、授業に出なかったりするの?」



「うん。見学するのが面倒な時は、保健室で寝てたりする。かったるい授業の時も同じかな」



「それって、先生に疑われたり、怒られたりしない?? 単位だって取れなくなるよ」



「疑われたりしたことはないよ。俺って、いつも顔色悪いって言われるし……」



「たしかに色が白いよね。女のあたしがうらやましいくらい美白っていうか……」



「それって、誉めてるの?? せっかく彩城さんに褒められてるのに、なんだか複雑だな」



「ほっ、誉めてるんだよっ。肌もすごく綺麗だし……」



男の子をこんな風に褒めたことなんかないから、思わず赤面するあたし。



そんな反応を楽しむかのように、あたしを見つめる大東君。



「だから保健室の先生も、すぐ信じてくれるよ。休んだ分は、筆記でカバーするからいいんだ。テストで頑張ればいいだけのことだよ」



そう。ずっとトップをキープしていたあたしだけど、



今回の定期テストは、初めて学年で2位だった。



トップは大東君だと黒崎先生が言っていたっけ。