「たしか来週の月曜日に提出だったと思うよ」



「ありがとう……。じゃあまだ急がなくてよさそうだね。よかった」



大東君は読んでいた文庫本を机の中にしまって、世界史の教科書を広げていた。



先生が入ってくるまでは、まだまだ騒がしい教室。



教室でずっと寝ている奴、大勢でお菓子を食べながら雑誌を読む女子、



バカみたいな会話で盛り上がる男子達。



休み時間の過ごし方は、みんなそれぞれ。



でも、大東君はたいてい、席に座ったまま過ごしていることが多かった。



「なぁ、大東、お前って、部活何入るかもう決めたのか??」



「あ、まだ……だけど」



「じゃあ、俺らのバスケ入らねぇか??」



「バスケ部??」



「ああ、今、人足りなくてさ、大東なら背も高いし!!」



「ごめん……俺、運動苦手だから」



「そっかっ……残念だな。じゃあ、気が向いたら見学にでも来いよ」



時々、こんな会話をしているのを見かけるけど、



大東君からは話しかけたりすることはなくて、



あたしから見ると、大東君はまだクラスに馴染んではいないように思えた。