大東君が転入してきて、約1か月。



今ではすっかりその光景にも慣れたけど、



周りの女の子達の反応はとにかくすごかった。



休み時間はもちろん、教室を移動する時まで、



大東君のそばには、いつも女の子達がまとわりついている。



席が隣りのあたしにとっては、それが結構迷惑な状況だったりするんだよね。



教室に戻ると、今日も大東君にベッタリと寄り添う女の子がいた。



大東君は手に持った文庫本のページをめくりながら、



読むことに集中できないことに迷惑そうにしながらも、



時折、その女の子に視線を向けていた。



迷惑ならそうはっきりと言えばいいのに、



あたしが知る限り、大東君はそんなことは言わない。



それが、優しさからなのか、諦めに近いものなのかは分からないけど。



大東君のそばにいる子は、



いかにも“ギャル”って感じの女の子。



「ねぇ、優星君って彼女いるの??」



甘ったるい口調で、わざと顔を近づけるようにして、大東君を見つめていた。