あたしを見てる??……気のせいかな??



……そんなはずないよね。



それでもたしかに、あたしが視線をそらすまで、



少しの間、目が合っていたような気がした。



「ねぇ、この時期に転入生なんてさ、めずしくない??」



「それに、なんかモデルみたいで、かっこいいよね」



「私、超タイプかも♪ 」



教室のあちこちから、そんな声が聞こえてきた。



きっと、昨日アンナが言っていた、



“イケメンの転入生”ってのは、大東君のことだよね。



「え~~と、大東の席は、一番後ろの彩城の隣りだな。大東、あそこに空いている席があるだろ?? 何か分からないことがあれば、隣りの彩城に聞きなさい」



黒崎先生はあたしの席の横を指差して言った。



「彩城、大東を頼むぞ!!」



「はぁ……分かりました」



「いいなぁ♪ イケメンが隣りなんてっ」



あたしの前の席に座る麻理が、



あたしの顔を見ながら、うらやましそうにつぶやいた。