「この時期に転入生が来るってこと??」



「そう!! それもかなりのイケメンらしいっ!! 黒崎なら、担任としてなんか情報知ってると思うんだよね。そのイケメンの転入生のこと♪」



“イケメン”のところだけ強調するように言いながら、アンナは目を輝かせていた。



「ん~~。そんなことは言ってなかったけど……」



あたしの期待はずれな答えに、



「えっ……そっかぁ……」



「やっぱ、適当な噂だったのかなぁ」



アンナも友達も残念そうに目を合わせ、肩を落とした。



「あ、ヤバっ、そろそろ戻らなきゃっ。ごめん、また明日ね、月魅っ」



「うん、じゃあね」



アンナ達は、あたしに手を振って、あわただしく体育館の中へ入っていった。



「ねぇ、これ見て見て!! このミナト先輩っ」 



1年生の子かな??



自転車置き場へと歩くあたしの横を、



楽しそうに会話をしながら通り過ぎていく女の子が二人。



「これ、ミナト先輩に一緒に写メ撮ってもらったの♪ 超カッコよすぎてヤバくなぁい??」



「いいなぁ……見せて、見せてっ」



まるでアイドルの話でもしているみたいに、はしゃいでいる二人。



この子達にとって、ミナトは憧れの先輩であることが伝わってくる。



「でもさ、最近ね、ミナト先輩、好きな人できたらしいんだよね」



「え~~!! 超ショック。それってミナト先輩から聞いたの??」



「ミナト先輩の仲いい友達からの情報らしいんだけど」



ミナトが人気があっても、なくても、



どっちにしてもあたしには関係ないけど。



「誰なんだろうね……ミナト先輩の好きな人って……」



やっぱりこんなに人気があるんだね。