「黒崎先生っ、おはようございます……今日は遅刻する予定じゃなかったんですけどっ」



あたしの説得力のない言い訳に、黒崎先生は顔をしかめて、



「まったく、お前は遅刻さえしなければ成績もいいんだし、問題はないのになぁ」



呆れたような目でそう言った。



「だから、その……これには色々と事情があって」



「言い訳はいい。さぁ、話は放課後にするから、帰る前に必ず職員室に来るように!! とりあえず、さっさと教室に入りなさい」



「はい……すいません」



こうなったのも、さっきの“ミナト”のせいじゃん。



先輩だけど、そんなのどうでもいい。



あいつにさえ会わなければ、もっと早く席についてたはずなのに。



朝からいきなり告白とか、ホント迷惑でしかない。



そんなの、あたしにとってはどうでもいいことだから。



それなのに、そのせいでまた今日も遅刻……。



あの黒崎先生の様子だと、職員室で説教されてるなぁ。



確実に反省文書かないといけなそうな展開。



そう思うと、無意識に大きなため息が出た。



「ねぇ、そう言えば、真帆から聞いたよ!! 月魅、また告らたんだって??」



「そうそう、あたしも聞いたぁ。それもミナト先輩でしょ?? ヤバい~~♪ 超うらやましい」



「えっ!! ミナト先輩って知ってるっ。イケメンだし、モテるよね」



休み時間、あたしを取り囲むように寄ってくるのは、香奈と麻理、そしてアンナ。