「……優君」



ここまで来て、やっとこれが現実なんだと実感する。



見上げると、10メートルはありそうな高い天井。



礼拝堂の正面左右には、その天井までかかるステンドグラス。



そのステンドグラスは柔らかな照明とともに、



神聖な存在感と温かみのある空間を演出するかのよう。



そして、祭壇の前には、あたしを見つめる優君。



微かに微笑みながら、あたしを待っている。



真っ白なタキシードは、眩しいくらいに似合っていた。



……あれ??



ふと見た参列席には、



「……ママとパパっ」



なぜかママと、出張中だったはずのパパが座っていて、



驚いて、思わず声を出してしまった。



その反対側には、優君ママの姿もあった。



パイプオルガンの生演奏が流れはじめて、



あたしは、一歩、一歩とバージンロードを進んで行った。