「優君、怒った??」



「怒ってなんかない……。ただ、どうすればいい?? どうすれば月ちゃんに俺の気持ちが全部伝わる??」



少しの間、考え込むように黙り込んだ優君。



「ちょっと、今から一緒に行きたいとこがある……。だけど、すぐには無理だから、ここで待ってて」



何かを思いついたのか、顔を上げた優君は、



あたしを見て、そう言ったかと思ったら、



「えっ、どこ行くの??」



今家に着いたばかりなのに、



優君はなぜかどこかへ電話をかけた後、



急いであたしの部屋から出て行った。



その間、状況をつかめないまま、



とにかくあたしには待つしかなくて、



部屋でひとり、優君からの連絡を待った。



「お待たせっ!! やっと場所が決まったから」



数時間後、車で迎えに来た優君。



「さぁ、乗って。時間がないんだ」



時間を気にしながら、あたしを車に乗せた。



外はもう日がすっかり落ちていて、



車のファザードランプの点滅が辺りを照らしていた。