「優君はあたしだけの優君じゃないんだなぁって……」



ポツリと出たあたしの言葉に、優君は優しく笑う。



「俺はいつでも月ちゃんのものだけど??」



俳優“大東優星”と、あたしのそばにいる時の“優君”。



それは同じようで同じじゃないってこと。



その違いを今日は間近で見たあたし。



みんなが“大東優星”をひと目でも見たくて集まって、



そのひとり、ひとりに慣れた様子で手を振る優君。



あたしは“優君”と結婚したい。



だけど、それは同時に“大東優星”とも結婚することになるんだ。



「どんな時でも、俺には月ちゃんしか見えてない。月ちゃんだけだよ」



こんな気持ちで結婚なんてしていいのかな??



「でも……」



「月ちゃんは、まだ分かってないの??」



「何を??」



「俺がどれだけ月ちゃんを好きかってこと!!」



「……分かってるよ」



「分かってないよ。まだまだ全然分かってなんかないっ」