あたしと優君はもう違う世界にいるってこと。



今まで考えないように、その現実から逃げていたのかもしれない。



「どうしたの?? 月ちゃん。なんか元気なくない??」



帰りは、あたしの家まで送ってくれた優君。



あたしの様子にもすぐにこうして気づいてくれる。



「ん?? なんでもない」



「なんでもなくないだろっ?? どうした??」



この気持ちを言葉にするのは難しいけど、



「……なんて言うか……もう優君は“優君”じゃないんだなぁって……」



あたしの知っていた優君はもういないのかなって。



そう思ったら、少しだけ寂しくなった。



思い出がいっぱいの学校に一緒に行ったのに、



もうあの頃の優君はどこにもいない。



「俺は変わらないよ。俺自身は何も変わってなんかない」



「……うん。分かってる。分かってるつもりなのに、なんでかな??」



「不安になった?? 俺といるのが……」



こうしてふたりでいる時の優君は、たしかに何も変わらないのに。



1番そばにいるはずのあたしがこんな気持ちでいいのかな??