「あの~~、あたしに何か用ですか?? 急いでくれないと完全に遅刻しちゃうんですけど……」



目の前で落ち着かない様子の男の子。



相手がイケメンだろうが、なんだろうが、



そんなの関係ないし、態度を変えるつもりはない。



それよりも、問題なのは、



担任に今度遅刻したら、反省文を書くように!!って言われてること。



そんなの超面倒くさくて、絶対イヤっ!!



「そっか、そうだよね……えっと……ごめん。あの、えっと……」



そうじゃくても、遅刻ギリギリの時間。



見渡す廊下には、もう何人かの生徒しかいなかった。



本当ならダッシュしてでも、教室に駆け込みたいってのに。



「……用がないなら、もういいですか?? あたし、遅刻したくないんですよね」



「ちょ、ちょっと待ってって」



ミナトと呼ばれていた、その男の子は、



あたしがそう言っても、引き下がらずに、



「……いきなりなんだけどさ、彩城さんって、彼氏いるの??」



あたしの反応を伺うかのように聞いてきた。