いくつもの教室をまわり、廊下を歩く。



この廊下を何度あたしは歩いたのかな??



「ここに彩夏ちゃんと一緒にいる優君を見た時、すごく見たくないって思った……きっとあの時にはもう優君を好きだった気がする」



誰かを好きになることに慣れていなかったあたし。



自分の気持ちにさえ、気づくことが出来なかった。



「ん?? 今、俺に何か言った??」



「なんでもないっ」



周りを見ると、何人かの女の子が、優君を見てる気がした。



これだけのスタイルと隠しても隠しきれないオーラ。



優君ったら、目立とうとしなくても充分目立ってるからね。



そろそろ、バレるのも時間の問題かな??



そう思っていたら……



「おっ、もしかして、彩城か??」



後ろから声をかけてきたのは、



「わっ、黒崎先生??」



変わらない笑顔であたしを見る黒崎先生だった。